Apr 10, 2012

Folders Hack

多くのwebサービスにおいて「欲しいものリスト」は必ずといっていい程に機能として付与されている。ZOZOTOWN然りAmazon然りだ。
その「欲しいものリスト」が、まるでウィンドウショッピングをしているかの如く手軽に、かつソーシャルにできるSNSがある。それがSumallyだ。

[ Sumally ]

Sumallyの持つ機能は至ってシンプルである。Sumally内外にある画像に対して「want it」あるいは「have it」するだけで、「これ欲しいです」や「これ持ってますよ」といった意思表示を「欲しいものリスト」として画像で構成することができる。またTwitterのように他ユーザーをフォローすることができ、ユーザーが追加したアイテムを「following(TwitterのHome Feedのようなもの)」で随時閲覧することが可能だ。

そのSumallyがこの度新しく機能を1つ追加した。「Folders」と呼ばれる機能で、その名のとおり「want it」および「have it」をしたアイテムをフォルダ分けすることができるようになったのだ。
ここは当然「家具」や「アパレル」といった具合に自分が追加したアイテムを分けていくのが自然な流れのように思える。が、僕はこれが違和感を感じてならない。
そこで僕なりに違う使い方をしてみることにした。いわば“ワタシ的 Folders Hack”だ。言うまでもないが、SNSの使い方には正解も不正解もなく、あくまで1つの方法論としてさらりと読んでいただけると幸いである。

僕の作ったフォルダは2つ。「hate it」と「sell it」。前者は嫌いなものを追加し、後者は売りたいものを追加するためのものとした。以下が僕の違和感を感じた理由と上記フォルダ作成理由である(それぞれの理由を上手く分けることができなかったので、取り急ぎまとめている)。


  • 「my Sumally」ではチェックマークが存在しない

「new」などのページにおいては右サイドバーに表示されるカテゴリー別表示用のチェックボックスがあるのにも関わらず、「my Sumally(自分が追加したアイテムが全て表示されるページ)」にはそれがないためにフォルダ分けする。「家具」や「アパレル」のようにフォルダ分けすると、どうしても前述のチェックボックスと類似した内容になってしまい、ユーザー自らがフォルダをつくる意味が失われてしまう。Sumally側が何を考えているのかわからないが、言わせてもらえばSumallyの怠慢だ。


  • 「following」と「activity notifications」が逐一表示される

上記に関連して、仮にオリジナルのフォルダをいくつか作ってそこにアイテムを加えたとしよう。新規機能であるため、何百ものアイテムをすでに追加している既存のユーザーは作ったフォルダに次々とアイテムを一度に分けていく。これによって自分の「following」だけでなく、自分をフォローしてくれているユーザーの「following」にも、加えて他ユーザーの利用状況通知機能である「activity notifications」にも以前に見たアイテムがこぞって表示されることとなる。新鮮さのかけらすらなく、うるさいページが瞬く間に仕上がるというわけだ。


  • 「want it」「have it」がすべてではない

自分の作ったフォルダに加えたアイテムは必ずしも「want it」あるいは「have it」にも属すというわけではない。フォルダに追加したのちに「want it」または「have it」を解除することで、そのアイテムの所属は作成したフォルダのみになるのである。つまりフォルダを作成することで「want it」や「have it」が階層化されるというわけではなく、作成したフォルダを「want it」や「have it」と同じレベルで並列に位置づけることが擬似的にできるというわけだ。

これらのことから、「家具」や「アパレル」といった分け方でなく、「〜する」といった分け方をすることで、想定される弊害を回避し、Sumallyの幅を広げることができると考えた。いわば「名詞的フォルダ分け」ではなく「動詞的フォルダ分け」をしたということである。

小学生のお絵描きのような自由奔放な文章にはなってしまったが、多少は理解していただけたかと思う。少しでも共感をしていただけたのであれば、僕は「動詞的フォルダ分け」を強く推したい。

ちなみに僕の作ったフォルダの1つ、「sell it」では(お眼鏡にかなうかどうかはわからないが)僕の私物を実際に出品しているので、興味を持たれた方は冒頭に「Sumallyみました」をつけて@taku1106までTwitter経由で是非ともご一報いただきたい。

Dec 28, 2011

代官山 蔦屋書店

かなり長いインターバルを置いた後の投稿になるので、いささかタイプする指先に緊張感が滲み出ている。見苦しい点は目を瞑って頂けたら幸いだ。

ここ1週間ほど、寒空の下、足しげく通っている場所がある。代官山の蔦屋書店だ。先日12/5にオープンしたばかりの出来たてホヤホヤの本屋さんだ。コンセプトは「大人のTSUTAYA」。これがまた日本では珍しいアメリカン・スタイルの書店なのである。

[ 蔦屋書店 ]
まず立地だが、これはおよそ便がいいとは言えない。駅から徒歩で約5分で、通常の書店とは傾向を異にしている。外観はまるで近代美術館だ。一見してとても書店とはわからないだろう。

しかし書店というだけあって、もちろん書籍全般は扱われている。3つの建物に別れているのだが、これがそれぞれの建物の1F部分。学生が読むようなコミックや参考書の類いは身を潜め、車、建築、アート、旅行、料理、文学といった商品が主として並んでいる。今や昔に流行った「平凡パンチ」や「明星」などの懐かしいものも見受けられる。

2F部分はこれまた蔦屋(TSUTAYA)というだけあって、DVDやCDのレンタル並びに販売をしていたりするのだ。従来の店舗では狭小なスペースしか設けられていなかったジャズやクラシックも豊富で、映画フロアではDVD化されていない映画をDVDにプレスして販売するようなサービスも行っていたりする。

各建物、各階、それぞれ異なるジャンルの書籍やその他関連製品が置かれているため、目当ての本がある場合には多少探すのにも一苦労ありそうに思えるが、そこはさすがに現代である。流行の先端、iPadが店内の至るところに設置してあり、店頭で限定的に使うことのできる「蔦屋書店」というアプリケーションで商品の検索もできるようになっているのだ。そのおかげで特定の商品を探すことも容易い。

店内には「ラウンジ」なるものや、スターバックスなどがあり、店内どこから持ってきた商品であっても、それを読みながらコーヒーやお酒を飲んだりすることもできる。いわば飲食ができる図書館といった様相だろう(何を隠そう、このせいで僕自身は長居をしてしまうのだ)。

そしてこれが最大の特徴なのだが、各分野ごとに「コンシェルジュ」と呼ばれる従業員が設けられている。専門誌の元編集長などであったりするのだが、特定分野に秀でたその道のプロが、奥行きのある知識で僕ら消費者にきめ細やかな接客を提供してくれるのである。

ね、ちょっと行ってみたくなったでしょ?

この事業、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ;TSUTAYAの親会社、という言い方で合っているのだろうか)からしてみると、かなりの大規模事業のようだ。このような思い切った投資に踏み切ることができた背景には、間違いなく今年3月に成立したMBOが背景にあるだろう。やんややんやと逐一水を差してくる外部環境がなくなったことで、大船に乗った気持ちで大胆に舵取りできるようになったのだ。と考えてみると、逆に株主って相当うるさいんだろうなーとも思うのだけれど(笑)

とはいえ、少なくともこの事業、表面的には的を射ていると個人的には感じている。そもそもCCCの主要顧客層はTSUTAYAに象徴されるように20〜30代の若者から中堅層にかけてだ。このままでは将来的なジリ貧は免れない。そこで40代以降のシニア消費者層をターゲッティングすることで、現在ちょうどそのターゲット年齢層にある消費者だけでなく、いま20〜30代の消費者が年を取った場合にも対応できるというわけである。まさに顧客変化に対応すべく事業ラインの拡張を図ってきたのだ。加えて、CCCあるいはTSUTAYAというコーポレート・ブランドに対するロイヤルティの向上にも繋がらんといっても過言ではないだろう。実際に行ってみるとわかるのだが、如何せん心地がいい。

しかしながら一方で、蔦屋書店という事業から収益を確保していこうとするのには、若干の陰りがあることもまた事実だろう。先にも述べたとおり、わざわざ買わなくても店内でいかようにも読むことができてしまう。したがって、この事業内における収益確保の焦点をどこに当てるのか、またこの事業の結果からどのようなベクトル調整をし、いわゆるプランBとしてどんな戦略を打ち出すのか、検討の余地は大いにあることだろう。今後の展開からまだまだ目を離せそうにはない。

Jul 17, 2011

Switch Notes

メモをとるという行為は、“いつ”、“どこで”、“どのように”とるのかということがポイントだ。僕はいつも3Mのポストイットを手帳の中にこっそり忍ばせている。タスク管理をポストイットに頼ってる部分が大きく、手帳と一緒に使う頻度が多いからだ。

やはりメモをとる行為は“どのように”の部分が大きなウェイトを占めているように感じられるが、ポストイットの兄弟のような製品で面白いものを見つけた。“いつ”と“どこで”の部分へのウェイトを強く感じ取ることができる。

【Swich Notes】

この『Swich Notes』は家の電気のスイッチのところに貼付けておくタイプのポストイットだ(3M社の製品ではないので正確には「付箋」と呼ぶのが妥当かもしれない)。

買ってくるもの(など)を事前に書き込んでおいて、出かける際にそれをはがして持っていくという使い方のようで、外出時に必ず電気を消すという人間の行動規範を巧みに利用した製品といえる。

こういったことが出来る背景には、人の生活のとても細かな繊細な部分にまで観察の目を行き届かせることが何より必要だ。なおかつ、行動のすき間を読み取るだけでなく、そこに既存の何かを組み合わせてあげなければならない。

物凄くミクロな視点と一寸のズレもない選択。でもここまでであれば、(程度の差はあるにせよ)学生だってできる人は少なくないのではないだろうか?

では社会人と学生、プロのマーケターとアマチュアのマーケターでどんな差が生まれてくるのか?これは「理想と現実とのギャップを軸がブレることなく摺り合わせること」なのだと思う。いわば軸を回転させるのだ。これができればコアを変化させることなくオプションの部分の形をいびつなものから滑らかに丸みを帯びたものになってくるのだろうと思う。

と、いろいろ言ったものの、自分は人の繊細な部分すら全然読み取れないのだけど。